不良の法律~Judge Town~
「無責任なんかじゃねぇよヒサジ。お前が、この町に来た理由が過去の自分の事を背負いきれる人間になる為に来たんなら、そんな事気にする必要なんか何一つねぇよ…そんな事いちいち気にしていたら、本来の目的を見失っちまう…だからヒサジは、サヨちゃんの為に身を削れよ。そして、ヒサジの手でサヨちゃんを救ってやれ…」

ヒサジならサヨちゃんを暗闇から救ってあげれるはずだから。

辛い事だらけの人生に光をもたらしてあげるんだよ…。ヒサジならきっと出来る。

「出来るかな…俺に…」

ヒサジはうつむきながら、ぼそっとそう呟いた。あれ?…鬼のヒサジ君が弱気になってるのか?

…違うな。ヒサジの奴…。

「ニヤニヤしてんじゃねぇよ気持ち悪い!変態みたいな表情になってんぞ?」

「はぁ!?ニヤニヤなんかしてねぇし!」

ヒサジはうつむきながら笑っていた。きっと重荷が少し下りたんだろうな…まぁヒサジの顔立ちだから、変態みたいは嘘だけど、確かに柔らかい表情でヒサジは笑っていた。

実に清々しい笑顔で。

「いいや、ニヤついていたね。サヨちゃんの顔思い出していたんだろう?このスケベ野郎が!」

素直に言うのは恥ずかしいから、ふざけ半分で言うけどな。

「…そうだ忘れてた。この町を離れる俺からの餞別だ…お前に戒名をつけてやるよ…」

そう言うと眉間に青筋を立てたヒサジは、指を鳴らし、俺に近づいてきた…。

やべ…怒ったか?戒名って、俺は仏になるのか?まぁ、それはそれで面白いけどな。

「へっ!骨折してる奴なんかに負けるかよ!それに、サヨちゃんを迎えに行く日が遅れてもいいのかヒサジ?入院している暇なんてねぇだろ?」
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