不良の法律~Judge Town~
女の子はハヤトと目が合うと、表情を固くしながら口ごもる。

「ハヤト…そんな仏頂面で話かけなくてもいいだろうが。」

ドラゴンはハヤトにそう言うと呆れた表情をする。言われたハヤトは、眉間に皺をよせる。そんなハヤトの様子を見た女の子は、急に慌ててハヤトに話しかけた。

「えっ!?そんな訳じゃないですから!ホント全然!」

身振り手振りでドラゴンの言葉を全否定していた。

「…ところで、俺に何か用でもあるのかい?」

今度は気をつけたのだろう、さっきよりは優しく女の子…リカに問いかけていた。

「あっはい!…マリコには会わないんですか?」

どうやら、先ほどの話を聞いていたのだろうリカが、遠慮がちに、ハヤトに聞いていた。

「敬語なんて使わなくていいよ、同い年だろ?…どうしても外せない用事があるからな。ちょっと話をしようと思って学校に寄ったんだが、予定が狂っちまったからな…」

日が悪かったのか、時間に限りがある時に限って、こんな不測の事態が起きる。だが、ハヤトが居たおかげで最悪の事態は避けれた事を考えると、ついていたとも考えられるが…。

何はともあれ、このケンカがなければ、電話ではない会話をマリコと出来たのは間違いないであろう。

「でも!…少しだけでもいいから、マリコと話をしてあげてハヤト君。じゃないとマリコが可哀そうだよ…せっかく好きな人に会えたのに…」

「…だが、個人的な事情で待ち合わせを遅らせる訳にもいかないさ…一応仕事だしな」

リカはどうにかしてマリコとの時間を確保しようとしているが、ハヤトにも引けない事情があるんだろう。二人は、水かけ論の様な会話をしていた。

そうこうしているうちに、マリコとトウマが水飲み場から帰ってきた。マリコ達は、難しい顔をしながら話している珍しい2人組がケンカをしていると思ったのか、走って帰ってきた。
< 450 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop