ただ普通の恋がしたかった
放課後、クラスの前で北先輩が待っていた。

気まずくて、無視して帰ろうとしたが、
手を掴まれ、屋上に連れて行かれた。

「山川、昨日は、まじごめん。」
「いや、気にしないでください。」
「別に、山川のことが嫌いとかじゃなくて・・・」
「いいんです。」
「・・・ん、ま、また、バスケ見に来てな。」
「はい。」
何をしたいんだろう、北先輩は?
「俺さ、彼女と別れたばっかりなんだよ。」
「・・・」
「だから、すぐそうやって誰かと付き合ったりとかさ、まだ元かのに未練あるのに、出来ないんだよね。」
「・・・」
「気持ちが吹っ切れてから、新しい付き合いがしたいんだ。」
「・・・どのくらい、経てば吹っ切れるんですか?」
「分かったら、苦労しないよね。」
「ですよね・・・。」
「でも、嬉しかった、山川の気持ち。」
なんか急に希望が見えた気がした。
「すいません。会ってまだ1週間なのに、先輩のこと全然知らないのに、告白して。」
「いいよ、別に。たださ、俺も山川のこと興味がないんじゃなくて、ただ、今じゃないかな、ってだけ。」
もっと希望が見えてきた。
「はい。」
でも、他に何も言うことが無く、沈黙が数分続いた。
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