ただ普通の恋がしたかった
家に帰ると、お姉ちゃんがもう帰っていた。

お姉ちゃんは、自分の部屋で受験勉強をしていた。

「お姉ちゃん、北先輩の元かのってどんな人だったの?」
「何それ?あんた北のこと本気なの?」

お姉ちゃんがニヤニヤした。

「なんか勢いで昨日告ったけど、振られて、でもなんか脈ありかも。」
「え。あんたすごいね、わが妹ながら、お姉ちゃんびっくりだよー。」
「ははは。」
「北の元かのは、あたし達の一個上で、黒田桜って言うんだけど。黒田先輩は、美人だったねー。」

と言って、アルバムを取り出し、黒田先輩の写真を見せてくれた。
大和撫子と言ってもいいほど、
黒髪が似合う美人だった。
北先輩とお似合いだと思った。

「北先輩って年上好きなの?」
「そこまでは、分からないけど、北から告白したと思う。」
「へぇ。」
「でも、黒田先輩は、草岡と関係を持って、草岡のこと好きになって、北と別れて、卒業式の時に告白した、とかだったと思う。」
「浮気したってこと?」
「そうそう。」
「えー。ひどい。」
「ね。黒田先輩も最低だけど、草岡、最低だよ。まじで。」
「うん。でもなんで、あんなにもてるんだろうね?」
「さぁー。悪い男って、いつでもなんかもてんじゃん?」
「なんか今日も2年の子に屋上まで呼び出しくらってたよ。」
「可哀想な子。でも、まじであんた気をつけなよ。」
「何が?」
「絶対、真緒って草岡のタイプだから。」
「はぁ?」
「あいつ、欲しいものは、必ず手に入れる主義だから、騙されんなよ。」
「当たり前じゃん。第一、私、尚人さんみたいなの全然趣味じゃないし。」
「だといいけどね。」
と言うと、塾の用意しなきゃいけないからと言って、追い出された。
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