ただ普通の恋がしたかった
「きゃ!」

一週間後、下校中に後ろから、手で目を隠された。

「だーれだ?」

男子の声。

「え・・・分からない。」

頑張って手を振り外そうとしても、力で負けた。

「真緒ちゃんー。俺だよ、尚人。」
そう言って、手を放した。

「あ、尚人さん。今日は部活ないんですか?」
「まーね。真緒ちゃんは、これからどうすんの?」
「帰宅部なんで。」
「へー。お茶でもしてかない?」
「遠慮しときます。」
「固いねー。」
「尚人さんが軽いんじゃないんですか?」
「そう?俺軽い?」
「はい。正直軽いと思います。」
「気をつけよ。」
「じゃ、私は帰ります。」
「いやいやー、俺軽いの治すから、真緒ちゃんは固いの治そうよ。じゃ、お茶が駄目なら、近くの図書館で勉強しよ。俺、英語なら得意だから、教えてあげるよーん。」
「結構です。」
「そう言わずにさー・・・」
「と言うか、里奈とはどうなったんですか?あの子、尚人さんからのメール返してもらってないって言ってましたけど。」
「里奈ちゃんもいいんだけどさー、どっちかって言うと、俺は、真緒ちゃんに興味があるのー。」
「私は、尚人さんになんて、全然興味ありませんから。」

内心びっくりした。
学校1の人気者が私に興味を持っている。

いや、違う違う。

彼はきっと誰にでも興味を持っているんだと、
少し浮かれてしまった自分に言い聞かせた。

そして、私は尚人さんを無視して、バス停まで向かった。

「俺もこっち方面だから」
と言い、同じバスに乗った。
私は一番前の席に乗り、尚人さんは、一番後ろに座った。

「じゃ、また!」
尚人さんは私のバス停の2個前で降りた。
「では。」
挨拶はした。


直後メールの着メロがなった。
北先輩からだった。
今日部活がないから、パフェでも食べようと言う誘いだった。
『着替えてすぐ行きます。』
そう返事した。


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