ただ普通の恋がしたかった
カフェに着くと北先輩が待っていた。

「すいません、遅くなって。」
「あ、俺も今来たところだから、気にすんな。」
「あ、はい。」
「ごめんな、突然呼び出して。」
「いえ。嬉しいです。」
「そっか。」

心がドキドキしていた。
憧れの先輩からの誘いだ。

「俺、あんまり喋らない方だから、つまらなくさせたらごめんね。」
「いえ、大丈夫です。私は結構喋る方なんで、うるさかったらごめんなさい」
「はは、いいよ。」
「先輩はいつからバスケ始めたんですか?」
「小学生の時からだよ。のくせに、草岡に負けるんだよなー。」
「そうですか?先輩もすごく上手ですよー。」
「ありがとう。」

私が質問し、先輩が答える。

そういうのが30分ほど続いて行った。

そして、私が辿り着いた答えは、
先輩は私のことは別に興味がないのではないかと言うことだった。

「先輩、今日はどうして私を呼んだんですか?」
「んー、まぁ、特に他にすることなくて、こないだメール交換したから。」

そうですか。
そうなのか。
そうか。
やっぱり。


なぜか悔しくて
「先輩、私、先輩のこと好きになりそうです。」
と、勢いで告白してしまった。

「そっか。」
と先輩は困った顔をした。
「けど、ごめん、俺、そうやってすぐ人のこと好きになれないから。」

なんか、貶された気がした。
すると急に恥ずかしくなって、パフェ代のポケットにあった500円玉をテーブルの上に出し、とっさに店を飛び出した。

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