子供じゃない。
だからぼくは、近くに行こうとする弟の手を繋ぎ、二人の後ろを歩いた。

別に気をつかったわけじゃなく、そのほうが母さんの本当の笑顔が見れる気がした。

最後に母親ではなく、一人の女性として、心から笑ってほしかったから。

ぼくたちが生まれるまえはこうして、無邪気に笑ってたんだな。って、そう思った。

とても楽しそうに笑う母さんをみて、ぼくの頬も自然と微笑んでいた。

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