幸せ旅
ヤッパリまだ偏見や差別があるこの世の中。
斗騎ちゃんの親もそうだった。
私が性同一性障害だと知った途端掌を返す様に態度が一変した。
結婚も無しになった。
もし、結婚したいのなら二度と家の敷居を跨ぐなとまで言われ、斗騎ちゃんはキレた。
「こんな家こっ…」
「斗騎ちゃん!!ダメ」
その言葉は言わせない。
「私は別に“高本”の姓が欲しいとかじゃないの…斗騎ちゃんが側に居てくれればそれで良いの。だから私のせいで斗騎ちゃんとご両親が喧嘩するのはダメ。ねっ?」
精一杯の強がりだったかもしれない。
私が普通の女性だったら…とか、違う人だったらとか。
考えたくも無いけど今まで何回も考えてしまっていた。
「変な事考えるな…俺が奈々を放す気なんか無いから」
「ゔん」
こんな時に涙はKYだ。
「諦めないから。認めて貰うまで」
と、高本家を後にした。
「斗騎ちゃん?私ね若林のままで良いよ♪だからねおじいちゃんとおばあちゃんになっても一緒に居てくれる?」
「ゴメンな。折角憲法が改定されたのに(妄想の世界なので改定とかはナイですBY作者)…固いんだよな。昔の人間ってのは」