先生にキス〈2〉
「もしかして…キス…足りない?」
唇に指で触れる私を、ちらっと先生は見る。
「何言ってるんですか!!じゅ…充分です。」
放心状態だった私は、先生の言葉でハッとなり、慌てて答える。
「本当に?」
「嘘なんて、つける余裕がありません…!」
私は、すっかり暗くなった外の景色に視線を向けた。
こんなに長い時間、先生と一緒にいるのも、初めてなんだよね…。
まだ家に着くまで1時間…。
私は…この二人だけの空間で、どう時間を過ごしたらいいんだろう…。