らっこの国のお姫さま
昨日から姫は怒って飼育係と口をききません。

理由は理不尽なパン詰めです。

元々らっこの姫は迷惑防止で飼育係の口に蓋をしたのに、飼育係に反撃されたからです。

「ふーんだ!」

らっこの姫は婚約者の王子に手紙を書きました。

「飼育係が意地悪なので、早く城に帰って来て下さいね。姫より」

手紙をポストに入れると、姫は気晴らしに浜へ降りてゆくと波に浮かびました。

「気持ちいい……。」

何故かサングラスをかけて浮かんでいたので、サングラス越しの不思議な光景を味わっていました。

あれはホタテ……。

あれはガリガリ君……。

雲を見てあれこれ想像するうちに姫はうっかり眠ってしまい、沖へと流されていました。

目が覚めた姫は驚きました。

「城が見えない!」

姫はシクシクと泣きはじめました。

するとたまたま通りかかった漁船に、王子が乗っていました。

「姫、こんな所で何を溺れているのです。
さあ、僕の手につかまって!」

姫は幸運な事に王子に助けられ、二人で城へとたどり着きました。

漁師に真珠のネックレスをあげると、たくさんの蛤をお礼にと貰いました。

その夜王子と姫は久しぶりに会話をはずませながら、蛤を焼いたりしながら、楽しいひとときを過ごしました。
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