泣いたら、泣くから。
どくんと、大きく心臓が音を立てた。
だが、ここで返答を躊躇ってはいけないと思った。
「わかった」
その一言で奏斗の顔は安堵に満ちた。
わたしはその肩に手を乗せ、
「そんなに心配しなくてもいいよ、わたしは君たちより長く生きてるんだから」
ちゃんとわかっているから。
わかっているんだ。
「ごめん、ありがとう義兄さん」
そう言って笑う奏斗に、胸にかすかな痛みを覚えた。
ばれないよう笑顔を作ったままいろんな思いとともに唾を飲み込み、視線を夕陽に向けた。
そしてもう一度、今度は声には出さず、
「わかっているんだ。わたしがとらなければいけない行動は」
わかっている――――――――――――。
自分に言い聞かせるようにわたしは繰り返した。