泣いたら、泣くから。


 そこまで告げる必要はないと思った。

 心配をかけて、離れられなくなると、お互い困ってしまうから。


 叔父は優しいから、きっとまた私に会いに来てくれるだろう。
 そしたら、
 私はその優しさに甘えたくなってしまう。


 好きの気持ちが溢れて、今度こそ、制御が効かなくなる。


 ようやく、もう会わないと決めて、思いを我慢することが出来ているのだ。
 
 扉が開いたら、次はもうないと思う。


 思いは洪水となって私を飲み込むだろう。
 そのとき、私は自分を保っていられるだろうか。



 まず、無理だ。


 
 やっとの思いでさよならしたのだ。
 それが正しいとようやく自分の中に答えを結んだから。
 だから、きっと、これでいいんだ。

 これで、叔父に迷惑をかけることもなくなる。


 これでいいんだ。



 もう会わない。



 
 会わない。






 そう、これでいいの。これで――――――。


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