泣いたら、泣くから。
「だーかーら! 私は行かないって言ってるでしょ」
「どうしてよぅ。行こうってー」
「絶対、行かない」
絶対のところを強調して言い返すと、友はぶぅと頬を膨らませた。
やめろ。可愛くない。私がいじめてるように見える。
「まだこの間のこと怒ってるのー?」
「怒るに決まってんでしょ! 私騙されたんだよ!?」
先日、
『一花、これから一緒にファミレス行かない? 新しく出た夏のフルーツパフェ、おごってあげるから』
そう言われて着いていった先に待っていたのは近くの男子高校生たちだった。
「だったら謝る! もうめっちゃ謝るから。……ね? 一緒に行こう?」
――……ね? ねってなんだ?
謝ってるそばからその"ね"はないだろう。
この間は、向こうの気を悪くするわけにはいかないと友に泣きつかれしぶしぶ妥協し、結局自腹でパフェを食べて帰った。
今回も間違いなくそれである。
店に行けば、本来待ってなどいないはずの見知らぬ誰かが自分たちに向かって「こっちこっちー」と手を振るのだ。勘弁してくれ。
「いーや」
「あたしを助けると思って」
こらこら。
「けっこう」
「親友じゃん、あたしたち?」
おいおい。
謝罪の心はいったいどこへ飛んでったかなー?
「親友は親友でいいけど、カラオケはやっぱパスだよ」
「なんでよぅ! お互い一人じゃん! 寂しくない夏休みを過ごすためにも参加してよ」
「おあいにくー。私は今年の夏休み、ぜんぜん寂しくならない予定だから」
「は? ……まっ、まさか一花――――――!?」