泣いたら、泣くから。
三章-8
真由はもともと病気がちだった。
具合を悪くして寝込んだり、熱を出すことなんかしょっちゅうで、だけど、いつも長くても一週間もすれば回復していた。
重いと、言い切るほど脆い体ではなかった。
それなのに。
そんな真由に、わたしは決定打を与えたんだ。
真由は―――子を流した。
医者にはあまり希望はないと言われた。
それでも、
無理なわけじゃなかったんだ。
限りなくゼロに近くても、可能性はあった。
だけど、わたしは真由に頑張ろうと、言ってあげられなかった。
励ましたところで、実が伴わなければ結果的に真由を傷つけると―――。
わたしには彼女を支えてやるだけの器がなかった。
わたしは他力本願な臆病者。
いつも誰かの陰に隠れて生きてきた。
医者になったのだってそうだ。
まわりがすすめたので流れるままに気づけば今の職業に就いていた。
そんなわたしが誰かを応援できようはずもない。
……わたしは逃げてばかりだ。
わたしが逃げたから、真由を応援してあげることが出来なかったから、
だから、
真由が死んだのはすべてわたしのせいなんだ。