泣いたら、泣くから。
「そりゃあ三好ちゃん可愛いけどさぁ、合コンとか行くタイプ?」
「案外ノリノリで行っちゃうかもよ。人を見た目で判断してはいけませんなぁ」
「それもそうか。よし、じゃあターゲットを三好ちゃんに変更だ。――三好ちゃーん!」
走っていった友を見送り、ようやく解放された一花はぐったりと肩を落とした。
「さんきゅ咲希。助かった」
「いいって。――それよりどうなの? 昨日は上手くいった?」
咲希の問いに対し、私は一度頭を右に傾け、それから頷いた――だがすぐ、今度は左に傾け短く呻り、首を振った。
ちゃんと伝えることは出来た。
だが。
上手くいった、とは言えない。
叔父が私の告白を、どう受け止めてくれたのかわからないから。
まあおそらくは、私の伝わって欲しいと思う願いとは違う意味で解釈されたことだろう。
「微妙だったけど、しょうがないよ。一度で上手くいくなんて思ってないし」
「そっか。頑張りな、応援してる」
「うん。ありがと」
「――ねえ、一花」
不意に咲希の表情が穏やかだったものから真剣なそれに変わった。
「なに?」
「……無茶はよしなよ?」
「わかってる」
「そう。……あと、たまには部活に顔出しな。辞めても、私たちは一花のことを仲間だって思ってるから」
「咲希……」
私のことを心配し、気遣ってくれる咲希はほんとうに優しい子だ。
ちくりと、かすかにおぼえた胸の痛みを隠し、私は頷く。
「うん。私もだよ」
ありがとう咲希。