泣いたら、泣くから。


 姪は、わたしが力になると言ってくれた。


 今、励ますべきは自分なのに、逆に励まされているこの状況。

 姪は、時間をくれと言ったわたしに必死に応えようとしてくれている。
 それだけでもかなりの負担だと思うのに、それだけでなく、閉じこもったままのわたしを殻から破ろうとしてくれる。

 熱いものがこみ上げて来るのを感じた。


 姪はわたしの手に自身の手を重ねた。温かさに挟まれる。


「私は叔父さんが好きだよ」




 これからも、ずっと―――。





 わたしは姪の胸から手を離して、姪の両の手を包み込んだ。少女らしく、小さい手だった。「―――わたしは」



「……わたしは、なにも出来ない。成功を願うことしかなにも」



 こんなとき、もっと気の利いたことが言えればいいのにと思わずにはいられない。
 情けないほど、なにも浮かんでこなかった。だから、



「うん」
「こんなことしか言えないけど、―――頑張ってくるんだ。そして、ちゃんと帰ってくるんだよ」




 すると姪は、






「はい」







 あどけなさげに笑った。





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