泣いたら、泣くから。


 直後、ソファに置いていた携帯から着信音が流れた。



 サブディスプレイに表示された名前は―――兄、俊介。






 室内の空気が張り詰めたものに変わった。







 二人の目が携帯からすこしずつわたしへと移っていく。




 咲希へ、奏斗へ、そして、自分自身へ向けて、頷くと、わたしはとうとう携帯を取った。







「もしもし―――」












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