泣いたら、泣くから。


 一花は思った。

 帰ったら真っ先にあの手紙を燃やそうと。


 もう一生、必要ないのだから。


 


 見上げればすぐそこに叔父の笑顔がある。
 繋いでいるあたたかな手がある。

 寄りそう影はちゃんと二つ伸びている。

 幻なんかじゃない。

 叔父はちゃんと、ここにいる。そして、
 私もちゃんと、ここにいる。





 私は、叔父が好きだ。


 とってもとっても大好きだ。





 そして、それはこれからもずっと変わらない。





 中澤恭介を、私は愛している。

 誰よりも愛しています。





 愛しています、いつまでも―――。


 END

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