泣いたら、泣くから。

一章-5



「はぁ……」


 講習日、学校へ来たはいいが昨日の不調が完全にとれていなかったらしい。
 体が保たず、私は保健室で休んでいた。

 四角に区切られたカーテンを見つめ、何度目かわからないため息をつく。


 昨日は急に視界がかすんで意識が遠くなった。
 休むことなくあのまま居間にいれば、間違いなく倒れていただろう。

 が、出来ることなら寝室に行きたくはなかった。
 せっかく叔父と過ごせる数少ない時間だったのだから。


 両親に叔父への気持ちを悟られるわけにはいかないが、もうすこし喋っていたかったなと猛烈に後悔している。


 胸が痛い。
 油断すれば今にも涙がこぼれそうだ。


「一花ー。入っていい?」
「……どうぞ」
「失礼しまーす……って、うわ、めっちゃ顔色悪」


 カーテンを小さく開けて中に入ってきたのは咲希である。


「電気点いてないからだよ」
「そうかぁ? なんか、マジで具合悪そうだね。ほんと大丈夫?」
「なんとか。……授業は?」
「終わった。掃除もね。今から部活なんだけど、これ渡すように頼まれた」


 はい――と、伸ばされた咲希の手に握られていたのは一枚の紙だった。

 体育祭、各クラス(女子)参加種目割当表――。




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