泣いたら、泣くから。
わたしはそれ以上掘り進めて聞こうとはしなかった。
もちろん気にはなるが、家族で嘘を貫きたいと思っているのを無理にこじれさせることもない。
そんな権利、わたしにはない。
諦める選択肢を選び、わたしは姪の手を掴んだ。
「もう大丈夫だよ」
するとここで、わたしは小首を傾げることになった。
離させようと掴んだ姪の手は思いの外(ほか)強く、離れてくれなかったのだ。
だからと今度は、剥がすように手に力を込めてみた――が、小さいわりに姪の手はぴくりとも動かない。
「……一花ちゃん?」
「――ねえ、叔父さん」
不意に、心臓がどくんと跳ね上がった。
姪の目つきが変わった。
この目……来る――と思った。
「私ね――」
「……大人をからかうのはよくないよ」
情けなくも、どうしてよいかわからなくなったわたしは姪から視線をそらし、姪がその先に言おうとしたことを遮って言葉を重ねた。