泣いたら、泣くから。

一章－7

　困らせる気など、これっぽっちもなかった。

　一度好きと言っただけで信じてもらえるわけがないとあれほど言い聞かせていたのに。


　それでも……。


『もう一度言ったら、わたしは純粋にその言葉を受け止められなくなる』


　叔父はやはり私が伝わって欲しいと願うところをまったく見てくれてはいなかった。

　わかってくれていなくても、叔父を責めることだけはしてはいけない――そう頭ではわかっていたのに、やはり口から告げられると苛立ちがわいてきて止めることが出来なかった。

　気づけば叔父を怒鳴り、困惑させて、なにも言え無くさせる状況を私自ら作ってしまっていた。


　最も腹が立つのは、叔父の前でみっともなく取り乱した自分に対してである。


　――まるで子供だ。
　わかってもらえない悔しさを相手のせいばかりにして、力まかせに怒りをぶつけ続ける。
　デパートで欲しい物をせがむ駄々っ子小学生と一緒である。


　これではますます恋愛対象としてなど見てもらえるはずもない。


　――私、なにやってんだよ……！