泣いたら、泣くから。
一章-8
日曜日、姪はわたしの元を訪れることはなかった。
……当然といえば、当然だろうか。
わたしは姪を怒らせ、傷つけた。
それは確かな事実だ。
涙を必死に堪えていた表情を思い出すたび、なんてことをしてしまったんだと自分を恨んでしょうがない。
大人らしからぬ行動だった。
せめてちゃんとなにかを返してあげていれば、姪はあれほど苦しまずに済んだかもしれない。
姪の純粋な気持ちを追い返すような発言をしたことも、泣かせる原因だったに違いない。
わかってはいる――いるのだが。
あれ以外にわたしはどう言えばよかったのだ?
そもそも、姪の気持ちは真のものなのか?
純粋な、などと言ってはいるが、姪の本当の気持ちはどこにある?
目はまっすぐわたしだけを見ていても、心の底を見ることが出来るのは、心を持っている本人、主(あるじ)だけだ。
わたしには、姪の意図するところが読めない。
自室のイスにぐったりと背を預けると、肘置きに腕を乗せ手で頭を支えた。
どうしてこうも気になってしょうがないのだろうか。
夏の暑さにあてられたか……?
いやいやそうではないだろう。ならばなぜ……――
わたしは深く一つため息をついた。