泣いたら、泣くから。
ベッドの上、壁掛けのカレンダーに視線を向ける。
月の初めからずっとバツが書き込まれ、それから間隔を空けて赤で数字が囲まれている日を見つける。
数秒じっとその丸を睨み付け、私は顔を背けた。
――……考えちゃ、駄目だ。
今は、とにもかくにも叔父と過ごせる時間を増やす方法を探さなければならない。
先のことを考えくよくよする暇があるなら、今できることに思考をチェンジして時間を有効に使おう。
私はかぶりを振って立ち上がった。
とりあえず――と、私はクローゼットの取っ手を掴んでみる。
日曜日の天気を思い出し、あれこれと服を引っ張り出す。
ミニスカで効果はなかったからパンツで行こうか。むしろスカート丈を伸ばしてみる?
フェミニンか、ボーイッシュか……叔父の好みはどんなだろう。
あー、そうそうメイクも忘れずに。
クローゼットの扉につけられた鏡でデート衣装を練っていると――不意に私の隣にカレンダーが映り込んできた。
赤丸が異様なほど浮き出ていて気味が悪い。
――……大丈夫。まだ、時間はあるわ。
大丈夫、大丈夫。
何度も自分に言い聞かせるよう繰り返した。
胸にそっと手を当てる。
そしてもう一度、今度は声に出して呟く。
大丈夫、だいじょうぶ。
私はまだ、だいじょうぶだよ……――。