泣いたら、泣くから。
「教えてくれ。どうしたらあの子を傷つけずに、この先もいままでどおりの叔父と姪としてやっていけるだろうか」
もちろん返事はない。
そんな虫のいい話があるはずがないのに。――無責任すぎる自分にほとほと呆れる。
だがもし、……その問いに答えがあるのだとしたら、いくら金を積んでもわたしは知りたいと願う。
……誰かが傷つき、それで自分まで傷つくことは、耐えられない。
姪が帰り際置いていった携帯番号を書き落とした紙を見つめる。
『……噴水公園。私、ずっと待ってるから』
これが最後だと姪は言っていた。
最後ということはつまり、もう強引な誘いはしないということだろう。
祭が終われば、わたしは元の生活に戻れるのだろうか……。
ふとそう考え、はっとして額に手を当てた。
まさかわたしは、また……
不意に遺影を見上げ、すぐ顔を背けた。
笑う真由の顔を直視することはどうしても出来ない。
またわたしは――
逃げようと、しているのか――。