*桃色キス*短編
2人がたどり着いたのは屋上。


あたしと郁斗君はいつから好きになったとか、あの時はどう思っていたかなど笑いながら喋った。

繋いで手は離さないまま。


ふと、郁斗君と目が合って…真剣な眼差しに目をそらせなくなった。

完全に捕らわれた。

郁斗君に。


「好きだ、桃子」




ーファーストキスってどんな味がするのかな?

柚は無味って言ってたけどあたしはーーー


きっと

桃味だと思うんだ。

だって、キスしてるってことは、あたしに触れてるって事でしょ?

だったら彼が感じる味はあたしの味、つまり桃子味。


だったら彼の感じてる味があたしにも伝わる筈。

だからーーーーーーーー

桃味だと思うの…ー。


軽いリップ音と共に2人の唇が合わさった。



もちろん

ファーストキスのお味は

甘くてとろけちゃいそうな

優しい桃味。



ねぇ、


ずっと

ずっーと

あたしだけを感じていてね。

大好きだよ。


end
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