タイムマシン


『お母さん。携帯ないと不便だね。友達や彼氏から家の電話に掛かってくることなんて無いもん。』






『そうね。だけど今みたいに便利じゃないからあの初めて掛かって来た電話のことは今でも忘れられないわよ。』






泣きすぎて
目を真っ赤にした
お母さんが
噛み締めるように
話してくれた






『お母さん‥海渡くんの手あったかかった?』






お母さんは頷いて
ニコッと微笑んだ






『けど海渡くんとキスしたりしなかったの?手繋いだだけなんて今時小学生でもするよ。』






『陽菜のファーストキスは遠矢くんと中一の時だったものね。あの頃は今と違ってみんなウブだったのよ。けどそれで良かったと思うよ。今は中学生でキスしたりその先を経験してる子も沢山いて‥そうしないと皆よりおくれてるって思ったりね。そんなに焦って大人にならなくてもその時その時を大切に出来ればその方がお母さんは素敵だと思うよ。』






『だけどお母さん‥もし遠矢とそういう雰囲気になって嫌だって言ったら嫌われないかな?』






『それだけで遠矢くんが陽菜のことを嫌いになるんだったら、そんな人陽菜から別れなさい。でも遠矢くんは陽菜のこと大切に思ってくれてるとお母さんは思うから大丈夫だよ。』






そうかな?
でもお母さんと
海渡くんを
見てると
何だかスゴく
いいなぁって
思ったよ






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