白いジャージ4 ~先生とlove life~
よし、もう考えないようにしよう。
足早に歩く。
真っ暗な部屋に入り、電気をつける。
1ヶ月経っても、まだ慣れない。
やっぱり真っ暗な家に帰るって寂しい。
今まではずっとお母さんがいたから。
明るい玄関。
チャイムを鳴らすと、お母さんが玄関まで出てきてくれて、『おかえり』って言ってくれる。
『今日、どうだった?』って聞いてくれて。
食卓にはご飯が並んでいて、テレビから笑い声が聞こえる。
今は、私がお母さんの役目をしなくちゃいけない。
先生が帰ってきた時に、安心してもらえるように……
それが幸せなのに、時々寂しくなる。
当たり前だと思っていたお母さんの『おかえり』って声が、時々聞きたくて仕方がなくなる。
「あれ?」
何これ。
部屋の電気をつけて、手を洗った後……
鏡の前に映った私は、泣いていた。
頬に涙が……