白いジャージ4 ~先生とlove life~



「思えば、不思議な出会いだったんだよね。直が一瞬だけ付き合ったバイトの先輩だったたっくんに、私が一目惚れしちゃって。あの時、龍のことで辛かったのに、たっくんを見た瞬間、龍のことなんて頭から消えたんだ。それくらい、運命感じちゃったんだよね」



ゆかりの口調が、もう終わった恋を振り返るように感じて悲しくなった。


運命だったんだよ。


優しいゆかりに神様がたっくんとの出会いをくれたんだ。




「ゆかりは、たっくんのことをかっこいいかっこいいって毎日言ってたよね。あんなゆかりを見るのは初めてだったから嬉しかった。私と同じだなって思ったよ」




「そうそう。直みたいに先生先生って言ってるのが羨ましかったんだけど、いつの間にか私も直と同じくらいたっくんが好きになってた。年上で、頼れる所もあるんだけど、どっかが抜けてて、私がついててあげなきゃだめだなって思うんだ。たっくんって。でも、今は……私のそういう気持ちもたっくんにとっては邪魔なのかも知れない」




私は、大人になった先生しか知らない。


私が出会った時には、先生はもう大人だった。



男の人って、大人に変わる瞬間があるのかも知れない。


自分でもどうしていいかわからないくらい迷ったり、焦ったり、周りが見えなくなったり。




私はそういう時期の先生を知らないからわからないだけ。


子供扱いされることが嫌になったり、しっかりしていない自分を見透かされるのが怖かったりするのかな。




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