白いジャージ4 ~先生とlove life~
珍しく家の電話の留守番電話のランプがピカピカと光っていた。
家の電話はほぼ使うことがなくて、留守電が入っているなんて滅多にない。
誰だろうと思いながら、再生ボタンを押し、冷蔵庫からお茶を出してコップに注いだ。
ガタン……
体の力が抜けるような感覚。
私はテーブルの上に、力なくコップを置いた。
中のお茶がこぼれてしまったような気がした。
気付くと、床にしゃがみこんでいた。
遠くから聞こえる声。
笑い声。
楽しそうな声。
その向こうに見えるたくさんの女の人の笑顔。
私の知らない世界。
私には近付くことにできない世界。
私の知らない先生。
1分ほどの留守番電話の再生が終わる前に、私は家を飛び出していた。
鍵だけはちゃんと閉めたのに……
携帯電話を持っていないことに気付いたのは、家からずいぶん遠くに来てからだった。