危険な同居生活
マネキンの陰に隠れ激しい妄想シュミレーションを行っている間に、


気づけば二人は俺の前から消えていた。


マネキンの横から体を出して、店内をキョロキョロと見渡してみたけど、やっぱり姿がどこにもない。


「オイオイ、一体どこに行ったんだよー……」


俺が妄想爆発の旅に出ている間に、一体何が…


いそいそと店内を慌ただしい様子で、俺は足を動かして捜した。


しかし、どこを捜しても居ない。


ミカさんの性格からして、居たら大きな声が聞こえてくるはずなのに…。


しょうがない。二人のやりとりを見ていた他の店員さんに尋ねてみよう。


洋服を綺麗にたたんで、何やらチェックを繰り返している若そうな店員さんに俺は近づいて声をかけた。


「あの…すみません…」


後頭部をポリポリと軽く掻きながら、弱々しい声をかけると


「キャハ！」


と、太陽に負けないぐらいの眩しい光を放つ笑った返事が返ってきた。


接客業に大事なスマイルってやつなんだな。
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