危険な同居生活
「キャハ!」


って、アンタは登場しなくていから。


目でツッコミを入れると、その後ろからあのベテラン店員と一緒にベージュのスーツを着た黒縁眼鏡の男性がスタスタとやってきた。


そして、俺達の前まで来ると突然、俺の両手をガッチリ掴んで強引な握手を交わされた。


「いやー、アナタがミカさんのダーリンですか?この度は、こちらの要望にお受けしていただきありがとうございます!」


出たよ、出たよ。意味わからない発言が。


さて、どこからツッコムべきか…。


「あの…ちょっと、言ってる意味が理解できないんですけど…」


冬のイルミネーション並みに笑顔という名の光を発射してくる男性をまともに見れずに、険しい表情で問いかける。


「あれ?ミカさんから何も聞いてませんか?」


俺の横に居るミカさんをチラッと見て、男性は質問を返してくる。


「モデルって話の事ですか?」



「そうです!それです!ミカさんにこの店のメインキャラクターにぜひなってもらいたいのです!」


熱い…なんて熱い人なんだ。言葉を発する度に、波が俺に押し寄せるみたいだ。

こうなると俺は後ろに仰け反るしかできない。


距離が近すぎて、唾がまともに顔面ヒットしてるんですけど。
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