危険な同居生活
いつまでこの人は、俺の手を握ってるつもりなんだ。


手の中に生まれる変な温度が俺を気持ち悪くさせていく。


「ミカさんにも話したんですが、とりあえず8月の間の1ヶ月契約なんですが、ダーリンはどうでしょう?」


契約の話の前に、俺の事をダーリンと呼ぶのは辞めてくれ。


「ちょっと、待って下さい!話が急過ぎて……」


俺の言葉に男性の光輝く笑顔がうっすらと雲がかかったようにくもっていく。



「ダーリン!いいじゃん!こんなにカワイイ服がいっぱい着れるのよ?ねぇーダーリン?」


上目遣い全開でおねだりする姿に一瞬、爆発しそうになった。白のワンピース効果だ。


「ダーリン!1ヶ月の契約金は、百万円で考えております!」



「ちょっと、ダーリンって呼ぶの辞めて下さい!」


我慢ができずにとうとうツッコんでしまった。


突然の俺のツッコミに、店内が完全に静寂に包まれて、全員が俺を冷たい目で見てくる。


すべったのか?まともなツッコミを入れただけなのに、静まり返るなよ。


恥ずかしくなり、俺の頬は真っ赤に染まる。
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