危険な同居生活
「これから、どうぞ宜しくお願いします。」


それは、とても丁寧な口調で、深々と座ったまま頭を下げて品の高さを感じた。


さっきの俺の無様な土下座とは、大きな違いで。


って、待て。待つんだ田中さん。


って、自分の事を『さん』付けする俺って…。


いや、今はそんな事はどうでもいい。
何か、さっき、とてつもない違和感を感じたような気がするんだけど。



「あの…、今…何て?」


落ち着こうと、小さな深呼吸をしてみるものの、なかなか落ち着く事ができなかった。



俺の言葉に、ゆっくり顔を上げていく天使の女性。


直視はできなかったが、チラッと横目で見ると、なんだか不安気な表情に見えた。
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