危険な同居生活
身振り、手振りで、漢字ドリルの事を説明すると、



「あっ、あの、薄っぺらい赤い色した紙みたいなモノの事ですか?」


ポンと、手を軽く合わせて、ミサさんは晴れたような顔で尋ねてきた。


その顔をあまり直視はできなかったけど、


「そう、それです!知りませんか?」



「それでしたら、小さなお子様が、持って行っちゃいましたよ。あの時に…。」


その瞬間、俺は警察に飛び込んで行こうと心に強く誓った。


が、しかし、漢字ドリルが無ければ、雨に濡れてしまう…。


ものすごい葛藤が、俺の中だけで激しく繰り広げられている最中、


「今日は、雨ですし、私と一日お喋りしませんか?」


という突然の提案。


結局、俺はその提案を断れきれずに、ミサさんとお喋りする事になった。
< 33 / 203 >

この作品をシェア

pagetop