危険な同居生活
困った。これは困った。

何も考えずに、出掛けようという提案に了承した事を今、後悔している。


「ねぇ、ママ見て!あの白い服のお姉ちゃんの背中に羽が付いてるよー。」


子供ってのは、無邪気だ。すれ違う人は、気づいてはいただろうけど、あえて口にはしない。


その証拠に、母親は、『見ちゃダメ』と子供の手を掴んで早足で逃げて行く。



別に、逃げなくてもいいじゃないか、という感情が自然と込み上げてくる。


そしたら、俺は、ミサさんの細い腕を優しく、そっと掴んで走っていた。


ミサさんは、突然の出来事に、目を丸くしながらも、何も言わずに、ただ黙っている。
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