危険な同居生活
ダメだ、このままじゃダメだ。


このまま、このままだと、ただの恋愛ストーリーになってしまうじゃないかー!


こんな時に、俺は、いらぬ心配をしてしまった。


息が静かになると、俺は、慌ててミサさんとの距離を置いた。


ミサさんは、瞳をパチパチとさせて、俺の動きを見ながら、キョトンとしている。


「あの…田中さん。なぜ、さっき走ったんですか?」


また、その質問か…。


純粋に問いかけるミサさんに、ホントの事が言えるわけがない。


自分の髪を右手で、わしゃわしゃと触り、俺は、窓の前に立ち、少し考えた。


素直に言うべきか?

それとも、ウソの事を言うべきか?


漢字ドリルさえあれば、悩まずにすむのにと、改めて、漢字ドリルを盗んだ子供に怒りを感じた。


悩んでも仕方がない。俺は、正直に伝えようと決心を固めた。
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