危険な同居生活
さらに、激しい音が、店内に響く。


ガラスの破片の次は、コンクリートの壁が……。


どうなっているんだ。俺も他の客と一緒に逃げ出したい気持ちになった。


しかし、ミサさんにそこに居てと言われたからには、動けない。


くそー!非常事態だっていうこんな時に、なぜ俺は、漢字ドリルを持っていないんだー!



瞳を強く閉じて、自分の情けなさを悔やみ、地面に額を打ちつけた。



「田中さん。絶対に動かないで下さいね!」


最後に、ミサさんは念押しの言葉を俺に告げて、割れた窓から外へと飛んで行った。


瞳を閉じているから、バサバサと羽の音だけで判断。



こっそり、片目を開けると、俺は、ある事に気づいてしまった。



店内には、俺しか居ない事に。
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