危険な同居生活
目が完全に据わっていて、俺の方へと黒服はフラついた足取りでやって来る。



「どちらさまですか？ヒック」



俺のテリトリーまで黒服が侵入すると、俺の鼻をツンと刺激する強烈な酒の匂い。


思わず、失礼ながら鼻をつまみ、顔をしかめてしまった。


「あの…俺達、客で来たんですが…今日は休みですか？」



鼻で息は吸わずに、俺は酔っ払いの黒服に尋ねた。


ヒックと、一呼吸置いて、黒服はフラつきながら返答する。


「お客さん？お客さん？気づきませんでした。ヒック…すいません。営業中ですよー」


不気味な笑みを浮かべて、謝る素振りを見せたかと思えば、黒服は、ビンの中の液体をグビグビ全部飲み干した。



よく見てみると、そのビンにはマジックで書かれた怪しい文字が記されているのが目に入った。


【モヤシ酒】


アルコール度数０％


お子様でも楽しめる、モヤシ百％使用の甘味成分たっぷりジュース。


酒じゃないのに、何故、この黒服の人は酔っているんだ。
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