ジェネシス(創世記)
 それから四0億年経った。地球は突然(とつぜん)、「全球(ぜんきゅう)凍結(とうけつ)」なる天変(てんぺん)地異(ちい)を引(ひ)き起(お)こした。

その一(いち)要因(よういん)として、「メタン菌(きん)」の消滅が挙(あ)げられる。温室(おんしつ)効果(こうか)は、その菌によってメタンガスが生成されていた。

メタンは、酸素と結合(けつごう)することで燃(も)え続ける。しかし酸素が不足すると、メタン菌は急激に死滅してしまった。温暖な地球が、急(きゅう)速(そく)に冷(ひ)え始(はじ)めた。

 地球の全ての表面積が、氷の世界に閉(と)じ込(こ)められた。氷河(ひょうが)や積雪(せきせつ)は、標高(ひょうこう)一000メートルまで堆積(たいせき)した。

海もまた、水深一00メートル以上まで凍(こお)りついた。それは数百万年以上も続いた。それまで棲息(せいそく)していた植物、生物が、絶滅してしまった。わずかに残された生命体は、細菌や微生物だけであろう。

 もしかすると時(とき)同(おな)じくして、太陽に異変(いへん)があったのかもしれない。

太陽の核融合(かくゆうごう)反応(はんのう)が不完全(ふかんぜん)燃焼(ねんしょう)で、燃(も)えカスが大量にたまり、八0%以上も表面を覆ってしまったようだ。結果、光が、太陽熱が遮断(しゃだん)され、地球に届(とど)かなくなってしまったらしい。

 長(なが)い時(とき)が過(す)ぎた。地球の地殻(ちかく)、マントルが動きだした。世界中の火山が活動(かつどう)を始めた。

二酸化炭素(にさんかたんそ)の排(はい)出(しゅつ)により温室効果が生(しょう)じ、それによって「全球凍結」が溶(と)け始(はじ)め出(だ)した。

 氷河が崩(くず)れだし、巨大な岩石が数一百キロメートルも先(さき)に押(お)し流(なが)された。それは「迷(まよ)い石(いし)」と名付(なづ)けられた。

巨大な高波(たかなみ)が大地(だいち)を襲(おそ)い、氷河を溶かし海底を洗(あら)い流(なが)した。

雲が立(た)ち込(こ)め、雷雲(らいうん)が生(しょう)じた。海水が電気エネルギーの影響(えいきょう)を受(う)けて、電気分解(でんきぶんかい)を起(お)こし水素と酸素に分(わ)かれた。

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