ジェネシス(創世記)
ヨナは、ダデとともに戦場で輝かしい功績を上げ続けた。祝宴会場では、ダデをもてはやす歌声で満ちていた。

まるで次期国王がヨナではなく、ダデであるかのようににぎわっていた。ウル国王は、憎悪と怒りと嫉妬に満ちあふれ出した。

ダデを殺害しなければ、ヨナに国王の座を譲れない。いずれは、ダデに王位を奪われてしまう。

 ダデもいつしか、ウル国王から殺意のようなものを感じとり始めていた。いずれ自分は、ウル国王に殺されるかもしれないと勘ぐり出した。

 ウル国王の娘ミカが、そんな有能なダデに好意を抱くのは自然の流れでもあった。ダデも美しく知性的なミカに、愛情を抱かずにはいられなかった。

ウル国王は結婚の条件として、次の大戦で勝利をもたらせば、結婚を許すと約束した。ダデは喜び勇んで戦場に赴いた。

 ヨルダン川の支流に、スノマタ川があった。中学生時代、ダデは「ミネ」という林業を営む親方の下で、バイトをしていたことがあった。

ダデの異例の出世に、ミネは驚いていた。 ダデは、ミネに城作りの協力を求めた。上流から大量の木材を川に流し、下流域で部下に拾い集めさせる。

たった一日で、「前線基地」を建設した。それは、「スノマタの一夜城」と名付けられた。
 
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