ジェネシス(創世記)
ダデはブノという町で、司祭者レクと出会いしばらくは落ち着いた。しかしダデが立ち去った後、ウル国王はダデをかくまった罪で、住人たちの大半を虐殺してしまった。事実を知ったダデは、自分の運命を悲しみ、嘆くのであった。

「恐れることはない。私の命をねらう者はあなたの命もねらう。私のもとにいれば、あなたは安全だ(サムエル記、上)」

 ダデはケラの町にいた。近日中にパレス人が襲撃し、食料を略奪することを知った。今の状況では、戦ってもこの土地を守りきれない。

戦えば、ウル国王に居場所が知られてしまう。しかし住人たちを見捨てるわけにもいかない。ダデは有志を募って、立ち上がる決心をした。

ダデには「主」がついておられる。苦戦を強いられたが、パレス人を破ってケラの町を救うのであった。

「行け、ペリシテ人を討って、ケイラを救え(サムエル記、上)」

 その勝利の知らせは、ウル国王の耳に入った。ウル国王は軍隊を率いて、ダデを追った。ウル国王の症状が民たちに知れ渡ると、逆にダデを慕う者が増えていった。

ウル国王にねらわれることを承知で、ダデの旗の下に勇士が集った。少ないが、五0名ほどの軍団だ。

 ウル軍はダデを追いかけ、追い詰めた。追い詰められたダデ軍は、ウル軍と一戦を覚悟しなければならない。ところが、ウル軍は翻って進軍を止めた。

首都エルサレムがパレス人に襲撃されて、戻るようにと連絡を受けたからだ。ウル国王は後一歩というところで、ダデを逃した。ダデは、一命を取り留めることができて安心感に浸った。
 
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