ジェネシス(創世記)
今まで、南から放出(ほうしゅつ)されていた磁力(じりょく)線(せん)が、逆に北から磁力線を発(はっ)し南に吸収されてしまったのだ。

 しかも地球の自転も左から右ではなく、右から左へと回転した。反転したのだ。必然的(ひつぜんてき)に東と西が、逆になった。

東から太陽が昇(のぼ)っていたのが、西から太陽が昇り東に沈(しず)む、そんな不思議な現象が起きてしまった。

 逆転現象により、ぽっかりと南北(なんぽく)の極地(きょくち)上空(じょうくう)に、オゾン(O3)ホールが開いた。オゾン層(そう)は高度二五キロメートルの大気に広く分布(ぶんぷ)し、強い紫外線(しがいせん)や放射線を防(ふせ)いでくれている。

 フロンガス(メタン・エタンなどのフッ素(そ)置換体(ちかんたい)の総称(そうしょう))によって塩素(えんそ)原子(げんし)(Cl)と酸素が結(むす)び付(つ)くと、オゾンホールは分解(ぶんかい)される性質をもっている。つまりそれは、オゾン層が破壊(はかい)されるということだ。

 磁極の逆転によって、両極地にオゾンホールが開いてしまった。放射線や紫外線が、地表に降り注ぐ量が増大(ぞうだい)した。

恐竜たちは皮膚(ひふ)ガンや白内障(はくないしょう)などの症状(しょうじょう)が引(ひ)き起(お)こされ、死滅した。また、放射線によって生物の遺伝子が書(か)き換(か)えられてしまった。

 しかしその逆転現象は、幸いにも長くは続かなかった。北と南の磁極が反転しても、すぐにもとの磁極に修復(しゅうふく)された。

太陽や銀河系の重力が、地球の磁場(じば)を修復させたようだ。もし、地球の自転が逆回転したまま数百年も数千年も続いたら、いかなる天変地異が生(しょう)じることであろうか。想像(そうぞう)を絶(ぜっ)するものがある。


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