ジェネシス(創世記)
ある夜、軍隊を率いてきたウル国王が、山の中で休憩していた。ウル国王は、立ち小便をするために崖の上に立った。

四人で隠密行動をしていたダデは、その時、近くの草むらに隠れてじっとウル国王の背後を見つめていた。

ウル国王が立ち小便を終えた時、ダデは短剣をウル国王の背中に突きつけた。殺される。

 しかしダデは、ウル国王の殺害を断念した。「主」から選ばれた国王であり、主君でもある。自らの手で、殺すわけにはいかない。

心の中に葛藤(その選択に迷うこと)が生まれ、苦悩した。殺す代わりに、ウル国王の上着の端を切り取って、立ち去るのであった。

「主は決して許されない、彼は主が油を注がれた方なのだ(サムエル記、上)」 


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