ジェネシス(創世記)
司祭者ムルが、亡くなった。狭心症のようだ。民たちは嘆き悲しんだ。ウル国王は葬式に参列していた。一方ダデは、追われている身である。参列することはできない。

遠くから合掌するしかなかった。これで、ダデを見守ってくれる偉大な司祭者はもういない。 

 ダデは、カンから聞いた言葉を思い出し、二つの旗を作った。「一つ星」の旗。それと「ウインドー(風)、グローブ(林)、ファイアー(火)、マウンテン(山)」を表した旗である。

疾きこと風のごとく、静かなること林のごとく、侵略すること火のごとく、動かざること山のごとく。

 放浪しているうちに、ダデは二人の女性を妻とした。アビガとアヒノである。一方ウル国王は、娘ミカとダデとの結婚を解消し、知人の息子と強引に結ばせるのであった。

 ある日、ウル国王は軍隊をともなって、荒野で天幕を張っていた。ダデは夜遅く、コウガ忍者の頭「ハン」と一緒に、ウル国王の天幕に忍び込んだ。

寝入っているウル国王の枕もとから、ヤリと水差しを盗み取った。ダデは、一つ星のハンカチを証拠として置いていった。

 翌朝、ウル国王はうろたえた。ヤリと水差しがなくなっている。全身に鳥肌が立った。これだけの軍隊がいるのに、難無く自分の天幕に忍び込んだのだ。

それも、寝床を襲えば簡単に殺せた。犯人はダデだと分かった。将軍のネルは、防備が手薄であったことを恥じた。

「主は生きておられる。お前たちは死に値する(サムエル記、上)」
 
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