ジェネシス(創世記)
ダデは、まだウル国王から命をねらわれている。まともに戦えば、一00人の仲間が殺される。

ダデはやむをえず、渋々とパレス系ガウト人、アキ王と手を結び配下となることを決心した。

 アキ王は、ダデがウル国王に命をねらわれていることを、以前から知っていた。そこで、ダデを信用してみた。殺すのは簡単だ。

ダデのような有能な武将は、敵ながらも欲しい人材だ。ダデの戦術からは、学ぶべきことが多かった。

「勇者に対しては敵人といえども、私は尊敬する(ナポレオン)」

 ダデたちは、パレス人の雇兵となったが、心は「主」のもとにある。決してラエル人を裏切ったわけではない。全ては偽装である。

ハンや部下たちにも、そう説得した。ダデはラエル兵と一戦を構えても、手を抜いていた。財産や土地を奪っても、命だけは助けた。

 アキ王はあえて、その事実を黙認していた。ダデには戦術家としての作戦参謀を任せ、戦地での直接的な戦いは避けさせた。

しかしアキ王も、絶大なパレス国王には逆らえない。アキ王の本心は、お互いの友好を望んでいる。二人は、将来国王になったとき、杯を飲み交わすことを約束した。

「いつまでも、私の僕でいるだろう(サムエル記、上)」


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