ジェネシス(創世記)
ダデ国王は、王の名に酔いしれて、愛人を作り多くの子供にも恵まれた。そんなある日、長男のノンが異母兄妹マルと近親相姦を行った。半ば強姦である。

それも戒律にも人道上にも反した。マルの実の兄ロムは、妹を辱めた罰としてノンを殺してしまった。

 ロムは次男だ。実は、王位継承が絡んでいたのだ。ロムはこの事件で一度は追放されてしまうが、コウガ忍者ハンの計らいでエルサレムの土地に戻ることを許された。ハンは、ロムが生まれた時から、ずっと面倒をみてきた我が子のような存在だった。

 ダデの世継ぎは、他にも大勢いる。ロムは野心を抱き、ダデ国王の座をねらうべく準備を着々と整えていった。

正直、父ダデとは折り合いがよくないようだ。ロムは民たちに、自分のことを精力的に売り込んで支持者を増やしていった。

 ロムは、将軍ヨブルを引退させた。ヨブルはもう老兵である。ロムに従う若い将軍を任官させ、強い軍事力を味方につけた。次期国王としての基盤を作りあげていった。

「老兵は死なず、消えていくのみ(マッカーサー)」

 ロムは父ダデと、仕事面で対立することが続いた。切れたロムは、ついに怒りを爆発した。軍事力をちらつかせて、実力で父を追放したのだ。

年老いたダデ国王はまた、逃亡の日々を送ることになった。数人の部下を引き連れて、流浪の旅に出た。


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