ジェネシス(創世記)
ダデ国王は、ロムに切腹を命じた。ハンが、ロムの首を介錯(切腹する者に付き添って、激痛を和らげるために即座に首を切り落とすこと)する役目を担った。

ハンは剣を上段に構えたが、腕が震えて降り落とすことができない。柄をしっかりと、握れない。

 大勢のパレス人を平然と殺害していたハンでも、ロムだけは斬首できなかった。涙を流し、その場で泣き崩れてしまった。ハンは、介錯の辞退をダデ国王に申し出た。

 本当に泣き崩れたいのは、ダデ国王本人だった。愛する実の息子をこの手で、処刑しようとしているからだ。ダデ国王こそ、この試練に耐えねばならなかった。

 ロムは切腹を止め、半狂乱となり、その短剣を握り父ダデに猛進した。父を殺して、道連れにしようとした。

しかしダデ国王の警備兵の槍によって、腹を刺された。腹を刺されたロムは、勢いにのってそのまま、背後にある木に突き刺さってしまった。

宙づり状態で、ロムは木にぶら下がっている。そこでロムは、息絶えるのであった。ダデ国王は声を失い、地面に倒れこんだ。面を上げ、黙ってロムの遺体を改め
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