ジェネシス(創世記)
地軸の逆転により、氷河期(ひょうがき)が訪(おとず)れた。赤道付近でも寒波(かんぱ)が急激(きゅうげき)に到来(とうらい)し、雨が降る暇もなく大雪(おおゆき)が吹雪(ふぶ)いた。

雪も真(ま)っ白(しろ)ではなく、土(つち)や砂(すな)が混(ま)ざった灰色がかった汚(よご)れた雪だ。

 変温(へんおん)動物(どうぶつ)である恐竜たちは、急激な寒波に耐(た)え切(き)れず絶滅(ぜつめつ)に瀕(ひん)した。

突然の大雪によって大地が覆われ、草食の恐竜たちは、食料を瞬(またた)く間(ま)にして失(うしな)ってしまった。植物が育たなければ、もう死(し)に絶(た)えるしかない。

 草食恐竜がいなくなれば、肉食恐竜たちはそのエサを失ってしまう。それも連鎖的(れんさてき)に死に絶えるしかない。

巨大な生(い)き物(もの)であるために、食料を確保(かくほ)することもできず、絶滅に至(いた)るしかなかったようだ。

 地球の自転は現在、二四時間で一回転している。だが太古(たいこ)の時代は、もっとそれよりも回転は遅(おそ)かった。

緩(ゆる)やかだった。衝突により、地球の回転は、多少(たしょう)速(はや)まったようだ。自転が速まったために、重力・引力が強大になってしまった。

 巨大な恐竜たちは、急激に強くなった重力に対して、抵抗できなくなっていた。体重を支(ささ)えるだけの骨格(こっかく)や筋力(きんりょく)を、もっていない。恐竜たちは重力に耐(た)え切(き)れず、立って歩くこともできない。

 首長(くびなが)竜(りゅう)も頭部(とうぶ)が重くなり、長い首の骨では頭を支え切れない。寝転(ねころ)がらないと、生活できない。動くことができない。

それはエサも取れず、必然的に死を待つしかない。空を駆(か)け巡(めぐ)る巨大な翼竜(よくりゅう)たちも、その大きな羽根で飛ぶことさえできない。

もう絶滅するしか、他(ほか)に道はなかったようだ。
 
< 14 / 375 >

この作品をシェア

pagetop