ジェネシス(創世記)
「知は生命の泉なり(ソロモン)」

 ダデ国王には多くの勇士がいた。農民出身のヨシヒデ。奇抜な戦術家でタヌキ親父のヤスイエ。城取り名人のカン。剣豪のサシ。弓矢のイチ。

幼少期から信頼できる親友イエトシには、一00万㏊(ヘクタール)の領土を与えた。彼らがいなければ、ダデ国王は王座には就けなかったかもしれない。

 一方、パレス人にも有能な武将がいた。元テイガ部落の生き残りの忍者、「ナダ一0勇士」だ。ヤスイエとその次男タダは、ナダ王と一戦を交えた時いつも失脚していた。

最も恐れた、手強い相手だった。特にナダ王の部下キリとスケは、ハンと互角に戦うほどの勇者だった。しかしながら、「小阪城、夏の陣」でナダは最後を迎えるのであった。

 モンは幼少時代から、学問に対しては他の兄弟姉妹たちと比較すると、落第生だった。吸収力が鈍かった。

そのため、学校にはあまり行かず、私の家に良く遊びに来ていた。父カンと遊ぶためだ。

モンは学校で学ぶよりも、父のそばで過ごしているほうが、色々なことを学べたようだ。それだけカンは、知性と教養と戦術に優れていた。

 小学校・中学校・高校時代、私はモンと一緒に机を並べ勉学に講じていた。厳格な父は四人の娘に、徹底した教育を受けさせた。息子がいなかったから、仕方がなかったようだ。

 通常ラエルの父親たちは、娘に対する教育はほとんどしなかった。女性の教育といえば、母親から茶道、華道、舞踊、炊事洗濯家事掃除ぐらいしか学ばなかった。

美しく着飾り可愛く振る舞う、男性たちの快楽的な欲望を満たすだけの存在だった。祖母も叔母も母も姉や妹たちも、それが女性の生き方なのだと代々から教えられてきた。


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