ジェネシス（創世記）

その巨大な隕石は落下だけではなく、マントル対流にも影響を及ぼした。世界各地の火山が、連鎖的に噴火(ふんか)した。

黒煙(こくえん)を天(てん)高(たか)く上げ、高温の火山(かざん)灰(ばい)・岩(がん)塊(かい)などが高速度で斜面を流れ、広く大地を襲った。

火砕流(かさいりゅう)だ。火炎弾(かえんだん)が空(くう)を切(き)った。数百キロメートルにわたって火炎弾が飛び散り、森林を焼きつくした。恐竜たちは、炎(ほのお)に包(つつ)まれて焼死するのであった。

　それから数万年が経(た)った。その頃になると、恐竜たちは絶滅していた。生(い)き残(のこ)ったのは小さな生(い)き物(もの)たちであり、常温(じょうおん)動物(どうぶつ)たちだ。

　火星のウイルスが、また生物のＤＮＡを変化させた。新たな生命体を作り出した。さらに環境の劇的(げきてき)な変化が、変温動物から常温動物へと、爬虫類(はちゅうるい)から哺乳類(ほにゅうるい)へと、大きな身体(からだ)から小さな身体へと、生き物たちを変えた。

その後、チンパンジーやゴリラなどの霊長類(れいちょうるい)が、生(う)まれた。「主」が選んだ、次なる地球の支配者だ。
　
数々の隕石の落下を契機(けいき)に、それまで一つの大陸（バンゲア）だったのが、二つに分断(ぶんだん)された。

北半球のローラシア大陸と、南半球のゴンドワナ大陸に分かれた。大陸の移動は続いた。地殻(ちかく)変動(へんどう)によりインドと中国の国境(こっきょう)地帯(ちたい)では、山の標高(ひょうこう)が一段と高くなり、ヒマラヤ山脈が造(つく)られた。